1936年5月場所9日目

○双葉山(浴びせ倒し)玉錦●


-東西合併以降、最も重要な一番-
史上最大の騒乱である春秋園事件の影響から抜け出しつつあった大相撲界。

角界を牽引していたのは横綱・玉錦である。一方の双葉山は前年本場所で勝ち越すことなく終え、36年1月場所は東前頭3枚目の地位で9勝し、新関脇に昇進していた。

双葉山は1月の6日目玉錦に敗れて以来、どういうわけか全く負けなくなっていた。

過去の対戦成績は玉錦の6戦全勝。この一番が大相撲ある限り永遠に語り継がれる一番となることを予想した人はいたのだろうか。

双葉山、玉錦ともに無傷の8連勝で迎えた9日目、ついにその一番がやってきた。

仕切りは7回に及び、立合い、双葉山が突っ張る展開。玉錦右を差した。双葉山は左上手。双葉山の形。玉錦上手を切りにいくが、切れない。正面に双葉山出る、玉錦は起死回生の首投げにいく。双葉山そのまま浴びせ倒しにいき、これが決まってついに玉錦の牙城を崩した。

双葉山は最難関を突破し、この場所から5場所連続全勝優勝、不滅の69連勝を達成することになる。

興味深いことに双葉山は玉錦相手に6戦全敗だったが、一度玉錦を破ると以降は双葉山の4戦全勝で全に立場が入れ替わった。

まさに決定的な一番。少なくとも東西合併以降でこれより重要な一番というのはないだろう。

覇者交代の一番、玉座交代の一番などと言われるのは後世からの話で、玉錦を破ったとはいえ、この後の、勢いに乗る関脇力士・双葉山の御伽話のような快進撃を予想をした人が国技館の観衆の中にいたとは思えない。

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