2014年11月場所総評

 白鵬が大鵬に並ぶ32回目の幕内最高優勝を成し遂げた11月場所。3横綱と稀勢の里という角界の中心4人衆がそれぞれ存在感を示し、2014年の締めくくりとしてはなかなかだし、気持ちよく年を越せそうな場所だった。

 星数は白鵬の14勝筆頭に横綱・鶴竜が12勝、横綱・日馬富士と大関・稀勢の里が11勝挙げた。

 まずは白鵬。白鵬は6日目に高安に敗れたのみで、後は全て勝って14勝1敗。反応の早さは健在で、優勝回数はまだまだ伸びそう。

 一方で白鵬の早い段階での黒星で優勝争いが俄然興味深いものとなった。残念だけどそれが現実。

 これに応えてくれたのは初日から10連勝の鶴竜だ。危ない相撲もあるけど、そこを拾えるのが鶴竜。11日目以降は多少崩れた感もあるが、横綱としても充分合格点である。来年こそ横綱昇進後初優勝をその手に掴みたい。

 日馬富士も評価できる。13日目、鶴竜を破った一番は賜杯の行方を決定的にした。4日目までに2敗したときは「休場」の2文字も筆者の脳裏をかすめたが、そこから盛り返してくれた。稀勢の里にも勝っており、この場所のキーパーソンとなった。是非状態を戻してほしい。日馬富士の状態が横綱昇進前後の4場所中3場所全勝のような戻れば2015年は今世紀最高の場所にもなりえる。

 鶴竜を11日目に止めたのは稀勢の里。苦手の碧山に敗れたものの、9日目終えて8勝1敗と優勝争いに絡んだ。10日目に日馬富士に黒星を喫し、ここで優勝戦線から一歩後退したが、鶴竜戦では横綱をほぼ防戦一方にした。

 琴奨菊、豪栄道の2大関は負け越し。豪栄道の10敗は小結時代の2011年7月以来。豪栄道は逸ノ城戦で完勝したイメージが強いからどこで10敗もしたのかなという感じ。琴奨菊は膝の状態が良くないようで、1月場所への不安が拭えない。

 新関脇の2名はともに勝ち越し。東の碧山は実力相応の星数。勝ち越せたのは自信になるだろう。西の逸ノ城は入幕2場所目の関脇で8勝。筆者は7勝して三役に残れれば合格と考えていた。そこから1勝の上積み。ただ、相手の研究も進むだろうし、来場所はもっと厳しい戦いになると思う。1月も7勝して三役に残れれば合格である。

 両小結は東の豪風が2日目に豪栄道を破り、さすが嘉風と思ったら、次に勝ったのは千秋楽になってしまった。2014年は豪風抜きに幕内の土俵を語ることは難しい年である。2015年の早期に上位に戻ってきて、らしい相撲で沸かせてもらいたい。西の小結である勢は6勝。こちらは番付の降下も少ないだろうから1場所での三役復帰を目指してほしい。

 平幕では11勝した栃ノ心。怪我をする前より強くなっているという声が聞こえてくる。あれだけの大怪我をして強みを増して戻ってくるとは本人の相当な努力があったんだろう。力強い相撲は相変わらずで、来場所は負傷前に相撲を取っていた地位まで戻ってくるといえる。横綱、大関相手にどこまで通用するか。

 今場所の大きな収穫は宝富士の躍進。2014年後半になって急に強くなった力士。東2枚目で8勝は三役に上がってもおかしくない成績であるが、状況からして三役昇進はならないにしても、どちらにしろ近々三役の座を手にするだろう。

 西3枚目の照ノ富士も勝ち越し。6日目に右足首を痛めた後、しばらく足の怪我の影響を感じさえるような相撲だったが、土俵に上がりながら治したようで終盤には怪我をしているようには見えない相撲ぶり。

 遠藤は中日からの8連勝で10勝。再び上位に戻ってくるが、ここで何番勝てるかがポイントだ。

 11月場所はいい場所だった。1月は2大関がカド番となるから、彼らの奮起がひとつのポイントだろう。白鵬も大鵬超えに挑むし、なかなか楽しみな場所だ。


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