若貴絶縁騒動
-兄弟横綱の不仲が明るみに、世間は大騒ぎ-

65代横綱・貴乃花と66代横綱・若乃花は実の兄弟ですが、口もきかないくらい仲が悪い―。

この騒動は一言で言えばそれだけのことだが、当時のTV、新聞は競って取り上げ世間は大騒ぎになった。

若貴フィーバーも1998年5月場所後に若乃花が横綱昇進し完結し、フィーバーも一段落していた1998年9月1日、スポーツ紙に衝撃的な記事が掲載された。

「若乃花の相撲には基本がない。どうやって横綱の地位を守れるのか、私には不思議です。もう若乃花と話す必要はない」

これは弟の横綱・貴乃花のコメントである。絶縁宣言が飛び出した。

当時は若貴兄弟、実父であり師匠でもある元大関・貴ノ花の双子山やその妻である憲子さんまで含めて世間はこの一家を「理想の一家」として見てきたところがあった。若貴が幼い頃から家族でイヴェントがあればTV局が密着レポートと称して放送していた。それだけに社会に与えた衝撃は大きかった。


当初は真偽が分からない噂に過ぎなかったが、9月9日に双子山がTV番組で「貴乃花は洗脳されている」と発言。同時に親子であり師匠と弟子なのにもう2年以上会話がないことも明らし、洗脳している人物は東京は四谷で開業している整体師と証言した。

迎えた9月場所6日目、新横綱・若乃花は出島に敗れ横綱初黒星を喫する。すると待ってましたと貴乃花が「相撲はそんなに甘くない。やることをやらなければ負ける」と嫌味発言.。新聞各紙に掲載された。

こうなると相撲フィーバーの主役・貴乃花は悪者扱いに。従来は考えられなかった「貴乃花負けろ!」のヤジが9月場所では飛び交った。

ワイドショーは連日報道合戦、ファンは貴乃花の変貌ぶりに心配を募らせた。


しかし、1999年に入ると当時かなり話題になった評判の良い缶コーヒーのCMに出演し、ファンを少し安心させた。さらに関係者の努力も実り関係は修復される。兄弟和解の握手をがっちりと交わして全国の相撲ファンを一安心をさせた。

その後も兄弟同士で相手を尊敬するコメントを出し合うなど、解決したかに思えた。


2005年5月30日、父である双子山が亡くなる。するとどちらが喪主を務めるかを巡り、再び兄弟は激しく対立。特に弟の貴乃花(引退し一代年寄・貴乃花に)は兄を「勝氏」(本名が花田勝)と呼び、世間に衝撃を与えた。世間が勝手に描いた理想の家族像は虚像であった。

日本中の相撲ファンから「お兄ちゃん」と親しみを込めて呼ばれた若乃花が実の弟にだけは「勝氏」と呼ばれるのは実に皮肉である。

その後、一緒に食事をしたり、「勝氏」ではなく「勝さん」と呼んだりするなど多少の前進はあったものの、未だに完全修復には至っていない。





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